ナツィとかすみが衣料品店で服を選び始めてから暫く。
何着か試着をした結果、かすみはどれを買うか決めてレジで会計を済ませた。
そして2人は買ったものが入った紙袋を持って店をあとにした。
「…ホントにそれでよかったのか?」
かすみ、とナツィは商業施設の片隅にある大手チェーンの喫茶店の、店外にある丸テーブルの周りに置かれたイスに座りながらかすみに尋ねる。
かすみは、イスの脇に置いた紙袋に目を向けつつ、うんと頷く。
「やっぱり、自分にはああいうフリフリした服はなんか違うと思って…」
「だからといっていつものと同じような白いブラウスを1着だけとか、ちょっともったいないんだけど」
かすみの言葉にナツィは頬杖をつく。
それに対しかすみは苦笑いした。
「やっぱりいつものが1番だからね」
自分にはそれがぴったり、とかすみは目の前のテーブルの上に置かれたミルクティーのグラスに手を伸ばす。
ナツィはなんだよ…と不満げな顔をした。
「…いいなぁ、ナツィと2人だけでお茶だなんて」
「きーちゃんは紅茶苦手だろ」
「でもナツィと一緒なら嫌じゃないもん」
「なんだそりゃ」
ナツィとかすみが囲むテーブルから少し離れたところにあるテーブルを囲みながら、キヲンと露夏はひそひそ話をする。
2人は商業施設内の書店で買った手頃な雑誌や本を買ったときの紙袋で顔を隠していた。