夜7時、すっかり日も暮れて辺りが暗くなった頃。
今日の塾の授業も終わり、わたしは塾が入っている建物をあとにした。
同じ授業を受けた子たちは授業が終わったあとも建物の前で駄弁ったり、親の迎えを待ったりしていたが、わたしは家が塾から近く友達もここにはいないので、いつもさっさと帰る事にしている。
まぁ今は寒いので早く帰れるに越した事はないのだけど…
そう思いつつ暗い道を歩いていると、ふとわたしは小さな交差点の角の”止まれ”の標識に寄りかかるように、誰かが立っているのが見えた。
白いコートに白いミニワンピース、そしてツインテールにした長髪に赤黒く輝く目…
わたしはそんなバカなと思った。
「ご機嫌よう」
その人物…ヴァンピレスはわたしに気付くと、笑顔でそう呼びかける。
わたしは驚きのあまり動けなかった。
まさか、ヴァンピレスに遭遇するなんて。
しかもネロたちと一緒ではない平日に…
わたしが呆然としていると、ヴァンピレスはあらと首を傾げる。
「わらわが平日に貴女に会いに来た事に驚いているの?」
それとも、わらわの事が怖い?とヴァンピレスはいたずらっぽく笑った。