まだ、人間と鬼が共存していたときのお話。
そういって、私は話始めた。
門宮村(かどみやむら)には、1つの家だけ、鬼が暮らしていた。それが鬼柳家(きりゅうけ)。元々、他にも鬼はいたのだが、他の村への移住だとか、子供の減少だとかで、この村では鬼柳家だけとなってしまった。しかし、この村はとても平和で、鬼だろうが人間だろうが関係なく暮らしていた。
この鬼柳家というのは、母・薺(なずな)と長男・朔(さく)、長女・薊(あざみ)の3人。ちなみに、兄妹である。
この日だって、平和に1日が過ぎるはずだったのに____。
その日のある事件によって、3人の家族の歯車は狂っていくのであった。
「ねぇ、母上。」
「どうしたの?」
話を遮ったのは我が子。
「怖いお話?」
私は安心させるように、努めて微笑む。
「いいえ、こわくなんてないわ。……ただ、哀しいだけ。」
戸惑うような顔をする我が子の髪を撫でる。
「でもね、母さんが一番好きなお話。」
タイトルからして凄くレヴェルの高い話ですね。
もう弐も出ていますが続き楽しみにしています。
ありがとうございます‼
長くなると思いますが、完結まで頑張ります。