その日、いつも通り、朔と薊は近所の子供達と遊んでいた。
この子供達は、勿論人間の子。この日は川で遊んでいた。
「あ、兄様、お魚さんそっち!」
「え!?どこ、薊!」
「朔っくん(さっくん)危ない!」
朔と呼ばれる少年は、黒の混じった濃い茶色の髪を持っている。目の色は翠であった。一方で、この朔の妹の薊は、真っ黒で鮮やかな髪だった。薊はいつも三つ網にし、お下げのようにちょこんと2つ、肩にのせている。母・薺にやってもらったものだ。この子の目は赤である。そして、この日遊んでいたのはもう二人。紗那(さな)と、兄である蒼(あお)。ちなみに、薊と紗那は同い年で四歳、朔が6歳で蒼が七歳だ。
足を滑らせて、川の真ん中で尻餅をつく朔。もうびしょびしょだ。
「…う、うぅ……。」
思わず泣き出す朔。
「もー‼それくらいで泣かないの兄様!」
腰に手をあて、文字どおり仁王立ちをする妹、薊。一方で紗那は、心配そうに朔の顔を覗き込む。
「朔っくん、大丈夫?はい、手。」
そう言って、手を差し出す。朔は泣きながら紗那の手を取った。