暫くの間その場に微妙な沈黙が流れたが、やがてウェスト管理官が「行くぞ」とミラに声をかける。ミラは「うん……」と再度店内に入ろうとするウェスト管理官のあとに続こうとするが、不意に踏み出した足元になにかが当たる感覚がした。
「?」
ミラが足元を見ると、そこにはきらきらした桃色の花のキーホルダーが落ちていた。
「これって」
ミラが思わず拾い上げてそう呟くと、ウェスト管理官が「どうした?」と振り向く。ミラはそれに答えずじっとつまみ上げたキーホルダーを見つめていたが、やがて「ウェスト管理官」と口を開いた。
「ちょっと、行ってきてもいい⁇」
ウェスト管理官は「は?」と呟いた。
前線都市・ヘスペリデスの路地裏。ここを1人の小柄なコドモが歩いている。黄緑色の髪のその人物……ミラキュラスことミラは、手の中のきらきらしたキーホルダーを見て「どこ行ったんだろ、あの子」と呟いた。
というのも、ミラは先ほど街中で不思議な人物とぶつかったときに、ぶつかった相手が落としていったと思われるキーホルダーを拾ったからである。とても綺麗なものだった上、もしかしたら相手の大切なものかもしれないと考えたミラは、監視役のウェスト管理官の制止を振り切ってぶつかった相手を追いかけているのだった。