前線都市・ヘスペリデスの基地内にある、リニアーワルツの居住棟にて。
リニアーワルツたちがくつろげるように家具が設えられたラウンジのソファーに座りながら、黄緑色の短髪のリニアーワルツ……ミラは退屈そうに足をばたつかせていた。先ほどウェスト管理官の付き添いで外出をしたのに、途中で管理官の元を離れてしまった上、予定していた帰宅時間を過ぎそうになってしまったので無理やり基地に連れ戻されたのである。せっかく外出したのに予定していた買い出しができずに基地に帰されたミラにとって、あまり面白くない状況だった。
「……結局、返せなかったなぁ」
「これ」とミラはジャケットのポケットの中からキラキラしたキーホルダーを取り出す。外出したときに出会った、薄桃色の髪のリニアーワルツが落としていったキーホルダー……返すつもりだったのにと思いつつ、ミラはそれをラウンジの室内灯にかざして眺めていた。
「……たっだいま〜‼︎」
突然の大きな声にミラが慌ててキーホルダーをズボンのポケットの中に隠すと、ラウンジの出入り口から色とりどりの髪色とファッションのコドモたち……ヘスペリデス基地所属のリニアーワルツたちが入ってくる。そのうち大きな声でただいまを言いながらラウンジに飛び込んできた短い赤髪のリニアーワルツは、ミラの姿を見ると「おっミラじゃねぇか」と明るく声をかけた。
「台所に行ってるんじゃないのか?」
「あぁ、それは……」
ミラがそう言いかけると、赤髪のリニアーワルツは自身のジャケットの襟を後ろから掴まれる。「うぐっ」と間抜けな声を上げる赤髪のリニアーワルツに対し、「ちょっとパッション〜」と仲間の後ろ襟を掴む者……金髪をボブカットにしたリニアーワルツは笑顔を浮かべながら眉間にしわを寄せていた。