「ミラにデリカシーのない発言はダメでしょ〜」
「ちょ、ちょっと待てグリッタ」
「おれそこまで言ってな……」とリニアーワルツ・パッションはグリッタと呼ぶリニアーワルツから離れようとするが、グリッタはぐいとパッションの襟を引っ張る。
「他人は意外なところで傷つくものなの」
グリッタがパッションを睨むと、パッションは「ひぇっ」と小さく悲鳴を上げた。
その様子をミラは苦笑いしながら見ていたが、ふと右隣を見ると紫髪でツインお団子ヘアのリニアーワルツが座ってニマニマしていることに気づく。
「フォー⁇]
ミラが不思議そうに尋ねると、フォーと呼ばれたリニアーワルツは笑顔を崩さぬまま「ミラ」と口を開いた。
「なんかあった?」
「えっ?」
「どうして急にそんな……」とミラは驚くが、「いつもの勘ですよ」と優しげな声が飛んでくる。ミラが声の主の方を見やると、青い長髪を金色のバンスクリップでまとめたリニアーワルツがミラの左隣に座ろうとしていた。
「フォーは昔から他者の心の機微に敏感ですから」
「ね?」と青髪のリニアーワルツが訊くと、フォーは「うん」と頷く。
「そしてインテはそんなフォーを理解してくれる」
「そうですね」
「ラボで造られたころから、僕たちはずっと一緒ですから」とインテと呼ばれたリニアーワルツは、いつの間にか目の前のテーブルの上に用意していたティーカップにティーポットの紅茶を注いだ。ミラはその様子を静かに見ていたが、「あっ、もちろんミラもずっと一緒ですからね?」とインテは思い出したように呟く。ミラは「それはわかってる」と笑った。
「……で、なにかあったんですか?」
「管理官たちの立ち話を聞く限り、ウェスト管理官に怒られるようなことをしたみたいですが」とインテはティーカップを手に取ってミラに目を向ける。ミラは「ま、まぁ……」と苦々しく頷いた。