私はFANATICAlの質問に「そうだね」と答えた。FANATICAlは「じゃあ最期もお揃いってことね」と満足そうに言った。そして続ける。
「天国で会えるかしら」
「そういう死後の世界があるとしたら、きみたちは少なくとも天国には行けないだろうね」
「アディくんのこと悪く言うなんてサイッテー」
「天国に行けるような生き方をしていたなら、二人揃って処分されることなんてなかったんじゃないのかね」
「んむー」
先の妖艶な笑みとは打って変わって、FANATICALは小さな子供のように頬を膨らませた。表情どころか、その身にまとう雰囲気までもころころ変えるのは、些か気味が悪かった。多かれ少なかれ、リニアーワルツにはそういう傾向がある。人間の子供の形をしながら、確実に人間ではない……彼らの魂は、人工物としての歪さを孕んでいた。
私はその違和感から眼を逸らすように話題を変えた。ずっと気になっていたことだ。
「きみ、どうしてADDICTEDは処分されたんだい。きみらはカナンでも屈指の実力だったみたいじゃないか。確かにADDICTEDは精神的に危ういところがあったが……リニアーワルツの中では基本安定していたし、指示もよく聞いてくれた。なのにどうして」
私が尋ねると、FANATICAlはおかしそうに笑って、ベッドの隅に置かれていた小さな箱を手に取った。それを開け、中に入っていたFANATICAlが身につけているものと色違いの指輪を手に取り、部屋の明かりにかざした。色を失った石がちらと輝く。FANATICAlはその指輪に優しくキスを落とした。唇の端のピアスが指輪に触れて、小さく金属音を発した。
「アディくんはいない。それだけ。理由とか興味ない」
「知られたくないのか」
「別に。知りたいなら調べればいいわ」
「そうか。分かった。時間を取らせて申し訳なかった」
「いいのよ」
「……じゃあ、処分のときに来る」
「待ってるわ」
私は07号室を後にした。
午前中、ディソーダー討伐から戻った他のリニアーワルツの検診をして、午後は半休であったので、資料庫にFANATICAlとADDICTEDの件を調べに行った。