発散されるはずだった光が砲塔内部で爆ぜた。
『ギィィイィイィィイィイ!』
「ぎゃっ」
ディソーダーが叫び声を上げ、頭部にあたる部分が爆散する。爆風でファナも吹き飛ばされるが、今度はうまく着地する。辺りが砂埃に包まれ視界から色が消える。
ただ、気分の悪い空気を、脳が拒絶するような音波が揺らしている。
ファナは、急に独りになった気がした。停滞した空気が、彼女の肺の中にまで入り込んで、その思考を停止させてしまった。
恐怖が五感を支配して、何も聞こえなくなった。
助けを求めなきゃ。
いつものように名前を呼ぼうとした。
アディくん。
「あ、ね、あれ」
しかしそれしか出てこなかった。呼ぶべき人の名前が分からなくなって、頭では分かっているのに、なぜか、呼ぶべき名前はそんなものではないような気がしたのだ。
真っ暗な孤独を貫いたのは――
「ファナっ!」
その瞬間、世界が音を取り戻した。
反射的に声の方を見ると、砂埃の中からトバルカインがとんできた。アッドが投げたのだ。
ファナはトバルカインを掴んだ。リニアーワルツとしての本能的な反応だった。
ファナはもう一度、目に鋭い光を宿し、災禍を睨んだ。
砂埃が晴れる。
ディソーダーの砲塔は完全に吹き飛んで、外皮は溶け、内組織の毒性のある体液と反応してぐずぐずと気泡を発している。生命力を失った赤い光が、時々思い出したように強まって、すぐに消え入るを繰り返していた。
それが対峙する小さなリニアーワルツの両手には、ナアマとトバルカインではなく、対物ライフル並みの巨大な火器型の合体形態のジェミニ。
それを片腕で、涼しい顔をして構える。そして引き金を引く。
直後、冷酷な白い光が、ディソーダーの動力部を完全に破壊した。