東京から1時間と少し、新幹線を使う。
切符の買い方すら忘れていたようで、ぎこちない朝だった。
越後湯沢
「涼しい」
全く感性の貧しい感情である。
一歩、一歩、その音だけが心地よかった。東京より遥かに遅いテンポの走行音。ただ、脳をもみほぐす。
未読のメッセージが溜まる。とっくに電源は切った。
「あ、これ、店内で飲めますか?」
-高千代-
『可能ですよ、少々お待ちください。』
木製の椅子に腰をかける、麹の匂いがほのかにする。
『お待たせしました。』
楽しそうだ、店員が。
酒はまっすぐだ。美味いか、それ以外か。あくまで私の舌の話だ。
アイロニーなんぞ言葉はこの酒造所には何も見当たらない。アルコールの刺激はほのかで、優しかった。ただ、それだけだった。
寂しい。ほんとだろうか。
あ、ここにいた。
柔らかいトーンはアルコールの入った私にはあまりなもの優しかった。