「ふむ……小僧、成長したのう……その呪い人形もな」
清嘉の背中に負ぶさるように抱き着いた“メリーさん”は、その背丈が160㎝ほどにまで伸びており、体つきも幼い少女のそれから成人女性と同等の頭身にまで成長している。
「うん……って“コックリさん”腕ぇ!? そ、もげ、取れてる!?」
「案ずるな、接ぐ宛てはある」
「そ、そうなんだ……?」
「燿子の自我は沈めておるから、あの娘がこの痛みを感じることも無いぞ」
「あ、やっぱ痛いんすね……」
「そんなことよりもほれ、敵前じゃぞ」
“コックリさん”の言葉に、清嘉は改めて愛弥に向き直る。
「ふーん……何か強くなったっぽいけど……木偶人形如き、私の斬撃の敵じゃないんだよッ!」
愛弥は同時に十数本の斬撃軌道を展開した。一斉に迫り来るそれらを、“メリーさん”は背負われた態勢のまま身を乗り出し、材木質を思わせる両腕を振り回して次々と捌いていく。斬撃がその両腕に触れる度に硬質な衝撃音が響くが、それらの一つとして召喚体表面に傷をつけることは無く、受け流されたり弾かれて周囲の地面や壁を切り刻むに終わってしまう。
「あー……“メリーさん”曰く……」
斬撃の弾幕に冷や汗を流しながらも、清嘉は不敵に笑って言い返す。
「『クソガキの刃物遊び如き、メリーさんの敵じゃない』ってさ」
(煽りでめっちゃ脚色したけど……)
その言葉に、愛弥の殺気が更に燃え上がる。
「ブッ殺す!」
激情のままに無数の斬撃を雪崩の如く撃ち出し続けるが、“メリーさん”の両腕がそれらを全て叩き落とすため、清嘉たちより後方にその破壊が及ぶことは無い。
「あと……“メリーさん”、滅茶苦茶硬いってだけでさ……」
次の瞬間、清嘉と“メリーさん”は5m近く開いていた愛弥との距離を一瞬にして詰め切り、愛弥の顔面を人形の掌で掴むように捉えた。
「パワーも割と、あるんだわ!」
そのまま渾身の力で振り下ろしたことで、愛弥は押し倒され後頭部を地面に衝突させた。
「がッ……っ……」
愛弥の身体から力が抜け、動かなくなる。
「……一瞬、じゃったのぅ。流石じゃな、小僧」
「“メリーさん”がすごいんだよ。それに、野火止さんと“コックリさん”も足止めしてくれてありがとう」
「うむ。燿子には妾から伝えておいてやろう」