SUPER BEAVERの皆さん、こんばんは。
5本目のライナーノーツが書けましたので、お送りします。
今回は、318という楽曲に挑戦しました!
よろしくお願いいたします。
318 ライナーノーツ
ソファーに座っていた彼女の右手の行方を、静かに目で追う。
結露をしている窓の外は、街の灯りが見えていた。
窓を右手でそっと撫で、彼女の触れた部分から水が流れ落ちて伸びた。
二人が見ている世界は、なんともぼやけて綺麗に見えた。
湯気が立っていた二人分のコーヒーは、すっかり冷めきっていて、静かに夜を迎えた空は、霧雨が降っている。
赤信号が、クラクションが、報せる。
家を二人で一つの傘で出て、いつもの信号まで来ると、傘の中から突然飛び出した。
「ここでいいよ、バイバイ。」
チカチカと光る信号を見て、彼女は霧雨の中を走り出した。
追いかける事が出来ず、ただ彼女に向けて伸ばした左手は中を彷徨った後、静かに下ろした。
ほんものじゃなく、かりそめだった二人には、ほんの小さなやさしさだけにお互いが救われていた。
惹かれるがままに、傷を舐め合い、味にあきれば、余所行きの顔。
でも、いつかは、かりそめではない二人になれたら。
ほんのわずかな期待が痛い。
「ごめん。」
だなんて、優しさじゃない。
テールライトがボヤけているのも、濡れた頬も、ぜんぶ霧雨のせい。
憧れの距離にいれさえすれば、彼女は綺麗なままだった。
近くに寄れば、お互いの汚れも傷も見えてしまった。
だから、見ないふり。
傷は膿んでいくばかりで。
「嘲笑える。」
本当に、笑える。
ほんの小さなやさしさだけで救われたのは、お互い様のはずで。
だから、目の前の青信号が揺れているのも、濡れた頬も、ぜんぶぜんぶ霧雨のせい。
感情が混んでしまって、まだすぐには、歩き出せそうもないな。