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Tell us terrible Terrors:あけて その⑯

作戦地点である農道脇で、吉継はスマートフォンの時計を見ながらその時を待っていた。
『ぼ、ぼぼ、ぼ、ぼぼぼ、ぼぼ、ぼ』
彼の背後からは、打楽器とも管楽器とも付かない低い音が切迫した様子で鳴り響いている。
「……思い返すとさ、“お姉さん”……いや、“八尺様”か。あれと近づいた時、いつもこの音が俺を引き戻してくれてたんだよな」
『ぼぼ、ぼ、ぼ、ぼ』
「……助けてくれてたんだな、ずっと」
『ぼ、ぼぼ、ぼ』
「…………ずっと勘違いしてたんだけどさ。お前なんだろ? 俺の『イマジナリー・フレンド』」
『ぼ、ぼ』
「…………ありがとな。もう、大丈夫だから」
背後の夜闇に振り返る。やはりそこには誰もいない。
「大丈夫だよ。覚悟の上だから。今夜、決着をつけるよ」
『……ぼ』
「応援してて」
もう、その音は聞こえなかった。代わりに農道の奥から、しわがれた女声が近付いてくる。
『け、けきゃ、けた、あけた、た、あいた、ひらいた、れた、はいれた、はいれた、あいた、あいた』
“八尺様”が上半身を揺らしながら、ふらふらとした足取りで近づいてくる。前髪の隙間から覗く黒い瞳は、間違いなく吉継を捉えていた。
「……ずっと騙されてたぜ、この村はよっぽど上手くお前を封印してたんだな。随分長生きしたようだけど、今日が年貢の納め時ってやつだぜ」
構えを取る吉継に対して、“八尺様”は約2mの距離で立ち止まった。異様に長い腕を伸ばせば、容易に吉継を捕らえられる距離だ。
「来いよ。捕まってやらねえぞ」
“八尺様”が左手を伸ばす。その手首を払い退けるように、吉継は裏拳の衝撃を転送した。強化された遠隔打撃が手首の内側を弾き、掴みを妨げる。
“八尺様”は弾かれた手を見つめて首を傾げ、右手を伸ばした。吉継は再び異聞能力で拳の打撃を飛ばし、払い退ける。
二度も防御されたことで、“八尺様”は原理こそ分からないながらも、目の前の標的が抵抗していることを確信した。その一連の攻防は、怪異の機嫌を損ねるには十分だった。
『……ろ、れろ、いれろ、つらまえろ!』
両手で挟撃するように掴みかかろうとする“八尺様”。その顎を遠隔の突き上げが捉え、仰け反らされたことでまたも攻撃は失敗に終わった。

  • Tell us terrible Terrors
  • Q,これホントに八尺様? A,一応。
  • 今月中じゃ終わらないことが確定しました。
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