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Tell us terrible Terrors:あけて その⑰

“八尺様”が掴みかかる。吉継が異聞能力で払い退ける。その応酬の中、均衡は不意に崩れた。“八尺様”が長い腕を用いて足元の泥土を掴み、吉継の顔に向けて投げつけたのだ。
「っ……!」
目潰しに態勢が崩れ、その隙に長い腕が迫る。残り数㎝で捉えられるというその時だった。
「さぁぁぁせぇぇえるうううかああああっ!」
トレビュシェットから射出された潮が、“霊凛”を“八尺様”の側頭部に叩き付けた。速度と硬度、怪力の乗った一撃で、“八尺様”の巨体が大きく崩れる。
「飛んできた!?」
「王蕗先輩の“コロポックル”くんが優秀でね!」
“八尺様”が頭を振りながら長い腕で薙ぎ払うが、潮はその攻撃を竹刀で受け止める。
「はんっ、その程度の肉体で“ダイダラボッチ”を押し退けられると思うなよ!」
しかし、もう片方の腕が素早く伸び、潮の身体を掴んで持ち上げた。
「っ……」
「秋津先輩!?」
潮は囚われた瞬間、強烈な睡魔に襲われた。
(何これ……たぶん、“八尺様”の特性……耐える、無理、なら、後輩くん、まもら、なきゃ……)
血が出るほど強く舌を噛み、辛うじて意識を繋ぎ止める。
「後輩くん……! 掴まれちゃ、だめ……ねむくなる……!」
「えっ……」
「この、2.4mぽっちが……そんな、ちいさ、てで……巨人が……捕らえ、られ……か……」
潮の意識はそこで途切れた。しかし、同時に彼女を掴んだ“八尺様”の手が、地面に叩き付けられる。
【ダイダラボッチ】の異聞能力は、語部の肉体に巨人の如き『剛力』と『重量』を与える。“八尺様”が常人にあり得べからざる巨体と並外れた妖力を具えているとはいえ、山を超える巨神の質量を持ち上げるほどの怪力まで兼ね備えているわけも無い。意識を喪失して完全に能力が解除されるまでの僅かな時間、潮の小さな肉体は、敵の行動を制限する『錘』の役を果たしたのである。
(隙……!)
吉継は腰のホルスターから“霊火”を引き抜くと、ワンマガジン分連射した。BB弾が身動きの取れない“八尺様”の全身に突き刺さり、『ギャア』という悲鳴をあげて畑に転げ落ちる。身体を起こした“八尺様”の頭に載っていた鍔広帽は地面に落ち、殺意を剥き出しにした目で吉継を睨みつけている。

  • Tell us terrible Terrors
  • 秋津先輩退場
  • 最後まで有能な前衛だった
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