「可愛いなー紗那。」
蒼もにこにこしながら言う。その横では未だに朔がしゃくりあげていて。
「朔ー、薊の方が強いんじゃないの?」
ケラケラと笑いながら言う蒼に、朔はごしごしと目をこすりながら、へにゃ、と笑う。
「そうかもしれない。」
「朔、お前男じゃん__」
「でも、」
いつもの翠に深みが出た。
「強いにも色々あるからね。
腕力とかだと、薊の方が強いよ。」
にこっと笑った朔になにかを感じたが、七歳の蒼に、それを知る由もなかった。
「朔って面白いよな。」
きょとんとする朔は一拍置いて、
「蒼には敵わない。」
そう言って笑うのだった。