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鬼ノ業~序章(捌)

「紗那を…殺した…!?」
聞こえてきた単語に、薊は色を失う。
思わず、といったように薊は扉へ向かう。朔は止めようと自分も向かうが、立ち止まってしまった。
村人全員と言ってもいい。皆、家を囲んでいる。鬼柳家の家を、火を掲げて囲んでいる。
薺は、その内の一人の男に髪を無造作に掴まれている。力なくその場に座り込んだ姿は痛々しい。
「母様!」
「来ないで!薊!」
「待って!薊!」
母と兄の声が重なる。
「なんで…なんで!」
薊は睨む。母を掴んでいる男を。
男は口を開く。
「紗那の友達の嬢ちゃんか?
…うちの紗那が殺されたんだよ、お前の母親にな!」
薊は理解出来ていない。
「なんで…紗那が殺されるの!?
それに…母様は殺してなんかいない!」
「黙れっ!」
びくっとする。大の大人に着いた四歳の子供が勝てるわけがない。
紗那の父親は口を開く。
「なんで殺されるかなんて…俺が聞きたい…こっちは愛娘殺されてどうしたらいいかわからないってのにっ…!」
「じゃあどうして母様が殺したなんて言えるの!?」
父親は吐き捨てるように言う。
「紗那と最後まで一緒にいたんだ、こいつが!村人が見ているんだ、家の前まで送っていたところを!」
「ですから私は__」
「黙れ!」
蹴り飛ばした。夜だというのに、緋い血が鮮やかに散る様子が目にはいる。
「母様!」

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