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妖精と武器2

「わたくしたち妖精は、他者の気持ちに共感しやすく、ときに共感しすぎるあまり、死にいたることさえあるのです。つい先ほど、わたしを可愛いがってくださった方が……ああっ」
「わかったわかったもういいよ。僕は能天気なほうだからこれからは僕に共感するようにしたらいい」
「ありがとうございます」
「それにしても君は美しい。写真撮ってもいいかな?」
「あ、写真はちょっと」
「じゃあスケッチさせてほしい」
 妖精はうなずいた。
 
 こうして僕は芸術に開眼することとなったのです。いまこうしてイラストレーターとして名声を得ることができたのはあの妖精のおかげです。あの妖精はどうしたのかって? 軍国化のムードに共感しすぎて、仲間の妖精と共に爆弾を抱え、行ってしまいました。なにごとも程度ものなんですよね。いまの妻ですか? そりゃあもう、冷たいのなんの。

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