0

どしゃぶりのバス停で14

私は今、目の前が真っ暗だ。
「今日は、皆さんに言わなきゃいけないことがあります」
先生は、いつもと違う様子だった。
思わず緊張が走った。
「伊藤君…伊藤弘明君は、今週いっぱいで別の学校に転校することになりました」
うそでしょう…
最近やっと話せるようになったのに…
好きな、人なのに…
最近の伊藤君の悲しそうな感じ。
あれはきっと、これのせいだったんだ。
「さあ、伊藤君…」
「はい。俺の父は転勤の多い仕事についているので、今までなんども転校したことがあります。
でも…この学校から転校するって決まった時、なんだか前よりずっと、悲しいです。
それだけ俺いいメンバーに、恵まれたのだと思います。
今まで本当にありがとうございました。
あと3日ほどですが、仲良くしてください。」
淡々と語っているけれど、目に光がない。
転校して欲しくない!
行かないで!
言えるものなら言っている。
でも、そんなこと言えないよ。
伊藤君は充分すぎるほど悲しんでいるんだ。
引き止めて、もっと悲しくさせるようなこと、できないよ。

レスを書き込む

この書き込みにレスをつけるにはログインが必要です。