しかし、朔が口を開いた。
「おじさん、ここ、人間来ないよね。」
朔の目は、おじさんの目の奥を見つめているようだった。それが、自分の中の"何か"を見られている気がして、恐くもあった。
「あぁ。」
一言答えると、朔は続ける。
「おじさん、あの日のこと、何か知ってるよね?」
ずっと、聡い子だとは思っていたが、急にどうしたのだろうか。
すると朔は、止めていた箸を置いた。
「あの日から、13年も経った。
…最近、薊の様子がおかしい気がする。具体的な言動では分からないけれど、今にも遠くに行きそうで__」
薊の、この短期間によって作り上げられた笑顔は素晴らしかった。上部だけの、偽りの笑顔。見抜けるのは兄所以だ。
おじさんは息を吐く。
「いつか言わなきゃなとは思っていたんだがな。…朔にだけ、まず話しておこうか。」
そう言って語り始めた。
追伸:
妹の何気ない変化に気づく辺りお兄さんですね。
あざみんの歪みが…オホン。
"何か"とは何なんでしょうね。分からないことほど怖いと感じたものはないです。あれ、本編とあんまり関係ないですかね?(笑)