唐突なその言葉に、反応が遅れた。 「……え…?」 「あの日、薺が人間の嬢ちゃんを送り届けたろう、家まで。その時だ。どうして、朔っくん薊には父上がいないの、だったか。あの嬢ちゃんの言葉に、薺は狂ったらしいな。その言葉がいけないってことが、子供にゃまだわからんよ。しかしまあ、薺は本当に動転したらしくてな。」 朔は、一気に入ってくる情報についていけていない。しかし、おじさんは追い打ちをかけるように言う。 「朔、お前さん見てただろ?」 朔は固まった。 「薺が鬼の姿になるのを。」