唐突なその言葉に、反応が遅れた。
「……え…?」
「あの日、薺が人間の嬢ちゃんを送り届けたろう、家まで。その時だ。どうして、朔っくんと薊には父上がいないの、だったか。あの嬢ちゃんの言葉に、薺は狂ったらしいな。その言葉がいけないってことが、子供にゃまだわからんよ。しかしまあ、薺は本当に動転したらしくてな。」
朔は、一気に入ってくる情報についていけていない。しかし、おじさんは追い打ちをかけるように言う。
「朔、お前さん見てただろ?」
朔は固まった。
「薺が鬼の姿になるのを。」
否定、しない。見たのは、事実だ。
しかし__
「どうしておじさんはそこまで知っているの。」
あの場には居なかったはず。そもそも門宮村には、鬼は3人しかいないはずだった。
すると、おじさんは不思議なことを言った。
「俺が千里眼を持っているからさ。」