半端な優しさを差し伸べても
寂しげな鼻歌が返ってくるだけ
適度な厳しさを見せつけても
楽しげな笑顔が返ってくるだけ
真昼の空を見上げても
雨に濡れたアスファルトを眺めても
長い坂道を駆け登っても
人混みの電車から抜け降りても
もう君はいなくて
足早に明日はやってきて
ちっぽけな存在を噛み締めて
断片的な感傷に襲われて
声に出すのは控えたまま
規則正しいノートブックに
取り留めのない言葉を並べる
また、逢えるその時に
笑って君に差し出せるように。