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鬼ノ業~序章(弐拾捌)

二人はおじさんを埋葬する。倉庫に火がまわっていないことが、不幸中の幸いだった。
「おじさん…家と一緒の方がいいよね。」
薊は、なにも言わず頷いた。
棺と呼ぶにはあまりにも簡易な箱。それを、開きっぱなしの玄関に起き、二人は十三年間過ごした家から少し離れ、先程いた木の下に戻る。
「誰が__。」
思わず出てしまったその声に、薊が反応する。
「人間に決まっているじゃない…。」
言い訳するように呟く朔。
「…でも、今まで此処には誰も来たことがない…。」
薊はきっと睨む。
「人間じゃなかったら、誰がこんな事するの!?」
大きな声をあげる薊に、朔もつい反論してしまう。
「まだ決まった訳じゃない!人間だって、全てが悪じゃないんだ!」
「全て悪よ!自分と違うことの恐怖を当て付けて__醜いったらありゃしない!」
「それは…。」
朔は声のトーンを落とす。
「僕達にも、何か非があったんだ、きっと。
他人にしたことは、自分に還ってくる。」
薊は薄く笑う。
「そんな偽善聞きたくないわ。
私達は何もしていない。何も悪くない。兄様だって判っている事じゃない。」
朔は黙る。肯定せざるを得ない。何も、していないのだから。

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  • 追伸:
    あと三話ほどで、序章完結です。思いの外長くて…お付き合いありがとうございました(笑)本章までもう少しです‼
    はい。二人の考えが違ったものになっています。私、自分で書いてて、二人が辛すぎて。ここの兄妹には報われてほしいと常々想っています。