「それでも僕は、人間を殺したいとは思わない。
この感情を上手く言葉で表すことは出来ないけれど__」
薊は倉庫に姿を消す。そう思ったら出てきた。
「何を__!?」
手に持つのは、血がべっとりと付いた大鎌。人の首なんて一瞬で落とせそうな…いや、落としたような大鎌。
「ごめんね、兄様。私、兄様の言うこと、理解できないわ。
だから、私は私で生きていく。」
朔は口を開いた。
「蒼は、僕達を信じると、そう言ってくれた。」
薊に、一瞬躊躇いの間が生じた。しかし、そんな言葉、躊躇いですら無駄であった。
「所詮、人間の戯れ言よ。
兄様、今までありがとう。」
朔は、妹の後ろ姿を睨む。そして、誓う。
「僕は、薊を止めにいくから。それが違うこと、証明してみせる。」
「さよなら。」
炎はまだ燃えていた。
追伸:
二人は別々の道を進むんですね、これから。
弍十玖は特に解説することも説明することもありません。貴方の感じた意味が今回の物語です。
序章完結まであと二話です。もうちょっとお付き合い下さい。