捨てよう。
缶コーヒーの底に溜まった澱を。
誰かの希望ばかり詰め込まれた進路調査票を。
クレジットカードを。金貨を。
夕焼けが美しく映える山並みを。
やがてガラクタと明かされる宝物を。ゴミ箱のようなおもちゃ箱を。
どうせ光る未来を。過去を。
ドブ川に沈みうずくまる美しい思い出を。赤ん坊が空を掴む動作を。
いずれ誰かと繋ぐ手を。あの日傷つけた腕を。喜びを。哀しみを。
心臓を。呼吸を。脳を。魂を。
ただそこにあるだけで涙が止まらない星を。
おそらく永久に耳の中で鳴り響く音楽を。歓喜の歌を。愛の歌を。悲しみの歌を。
宇宙を。
僕を。
さあ 最期まで残ったものはなんだい?
最後まで捨てきれなかったものは?
捨てていいものと悪いもの、持っているべきものと要らないもの、
最後に残るのは、ぼく。
それだけで胸を張れるように、生きたいですよね。
ポケットにいっぱいの文房具と、小銭とケータイとイヤフォン、それに文庫本とライトにキーホルダー。
それらに埋もれていないと不安になっちゃうぼくだけど、最後に残るのはなんだろう…
何もかも捨てられる気がするけど何一つ捨てられずにいるのです。
部屋を掃除しろと言われただけの話なんですが・・・
シャアさんの場合はきっとことばが残るんではないでしょうか。
僕にはそう思えます。