『5日目弍』
気がついた時には横になっていた。
目を開けると見覚えのある部屋にいた。
そう、森矢邸である。
「気がつきました?」と頭の後ろから優しい声が飛んできた。
みゆりはバツが悪そうに横になったまま背を向けた。
「......みゆりさん、駄目です。幾ら貴方が妖怪学の権威だったとしても駄目です。
貴方はもう少しであちら側に逝ってしまう所だった。」
みゆりは、「ごめんなさい......」とだけ言った。
風麿は、「夜明けまで少し時間がある、一つあの百鬼夜行の話でもしますか。」
みゆりはみゆりは背を向けたまま目を輝かせた。
悔しいから風麿には見せないが。
あの百鬼夜行は、実は神が率いているのです。
この地方にあの社が立つ前からいた神が。
貴方の立っていた本宮から前宮、秋宮、春宮と。
君が見た蛇達がその神様です。
僕は音頭の真ん中で秘法を行っています。
大体このような事を言っていたと思う。
話を終えてから風麿は、
「もう月曜日です。仕事もあるでしょう。
まだ暗いがお行きなさい、送ります。」
森矢邸からみゆりの家は歩いて行ける。
家路の中、二人は会話をしなかった。
別れ際風麿は、
「今日の仕事が終わったら私の家に来てください。
話すことがあります。
それと、私の家に来る時は遊ぶ時と貴方の意識がある時にして下さい、ね。」
と冗談目かしく耳打ちをした。
P.S.気づいている方もいると思いますが、このお話で書いている【佐奈伎】は諏訪をモデルにしています。
佐奈伎大社なんてもろ諏訪大社だし、森矢なんて字を変えただけだし笑
だから読む時には諏訪の地図を用意するといいかもしれません笑