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鬼ノ業~本章(壱)

失ったものはあまりにも大きかった。
母、伯父、家、そして妹。
結局薊には、真実を伝えられず終いだった。母の犯した罪、人間だという父、そして"力"の事。"力"を使いこなせるようになればなるほど、人間はまた気味悪がるのだろう。
しかし、その中でも光は在るもので。
「殺されるかと思ったぞ、朔。」
「其れ、此方の台詞だから。」
早朝も早朝、まだ陽は東の地平線から顔を出したばかりだ。
黒髪に澄んだ黒真珠の眼。旧友の蒼。
「元気にしてたか?」
静かに問う。その言葉に、朔は応える。
「元気…蒼は?」
「表面上は、だな。」
妙な答え方をする。その意を目で問うと、蒼は嘲笑った。

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  • お久しぶりです。テストも終わり、開き直りの境地に至る私です。
    やっと本章!ということで、もうテスト無いし追われることもないので、気長にやっていこうと思います。よろしくお願いします。

    今日は全国家庭訪問イン秋田です。これからFM秋田に行ってきます!