結局、美穂には何も言えなかった。
そもそも告白されたなんてそんなこと恥ずかしくて言えないし…私の話だ。美穂には関係ない。
ぼーっと歩いていると、誰かが目に入ってきた。
山口だ。確か、木村の親友の…
「山口〜!」
「あっ、相沢!」
「今日部活あったのになんで早いの?」
「あ、俺今日塾なんだよね」
「へえ…」
山口はこっちをじーっと見て、言った。
「あのさ…相沢って、木村のことどう思ってるの?」
突然過ぎて困る。山口は知ってるのだろうか…
「え、うーん…」
「木村はね、相沢のこと本当に好きだよ。あいつの話にいっつもお前出てくるし…
ふるなら、早く。待たせないでやってよ。あいつのために。」
そんなのわかっている。わかっているけど…
「山口には関係ないじゃん」
そう言って、私は背を向けた。
木村がずっとドキドキしながら待っているのだろう。
でも私は決められない。
迷うということは、木村のことが好きなわけじゃないってことだ。
でも
迷うということは、木村のことが好きかもしれないということだ。
私は木村のことが好きなのだろうか?恋愛対象として見ていないのだろうか?
自分がわからない。
でも、これだけは言える。
木村は本当に私を思ってくれてる。
そして、木村には本当の友達がいる。
と、いうことは、木村はいいやつなんだ。
そんないいやつをいつまでも待たせる訳にはいかない。
すぐに返事をしよう。先延ばしにしないで、いますぐ向き合おう。