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鬼ノ業~本章(玖)

「凜のこと、送りに来てくれたのかい?悪いねえ、わざわざ。
うちへ入っていきな。」
どうやら、この女性は凜の母親のようだった。ということは、殺されたのはこの人の旦那さんであると云うことで。
「お邪魔します。」
初めは身構えたが、座るなりお茶をたててくれた凜の母親は、思っていた以上に気さくな人だった。だからこそ、なかなか話を切り出せない。
「そういや凜。父ちゃんはどこいった?一緒だったんじゃなかったのかい?」
空気が凍った。霜が降りる程に。切り出せないではいたが、そちら側から振られると動揺を隠せない。流石に、その空気に違和感を感じたように眉を潜める。
一番に口を開いたのは朔だ。
「凜の母上殿一一。」
「信乃でいい。あたしの名前さね。」
「…それでは失礼して。信乃殿、貴女の夫殿は、亡くなられた。」

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