言葉通り、朔と蒼は開いた口が塞がらない。
「わざわざこんな何もない処にどうもいらっしゃい。」
手を出してくる。握手と言うことだろうか。
状況をのみこめていない朔は、それでも握手を交わす。その時に一瞬見えた冷たい眼は、見間違いか、勘違いだったかもしれない。
この'大おばば'と呼ばれる女性の風貌を少し説明しよう。
身長は、女性にしては高い。この村を通った限り、一番女性の中で高いかもしれない。髪は結構長めで、毛先が巻いている。そして、陽に照らされたそれは綺麗な茶色を映し出している。何より――若い。おばばなんて年齢ではない。ましてや大の字がつくなんてもっての他だ。年は大体二十代も前半ではないか。朔や蒼よりも少し年上か――もしくは、同い年かもしれない。なんて考えてしまうほど若い。なぜ'大おばば'なんて呼ばれているのだろうか。
「アタシは'大おばば'だ。よろしく。
――凜、ちょっと席を外してはくれまいか。」
「えー…これからお兄ちゃん達を案内してあげようと思ってたのに…。」
'大おばば'は少し頭を下げるようにする。
「すまない。しかし、頼む。」
凜は微笑んだ。
「うん、大おばばがそこまで言うんなら…ただ、お話終わったらぼくんとこにきてよね。家の前で遊んでるから。」
追伸≫
'大おばば'の身長ですが、大体169cmくらいです。170ではなく、169です。
cmという単位はこの話に不向きな上、尺や寸という単位は今ほとんど使われずイメージしにくいため、ここで説明させていただきました。