毎日、毎日、自分を呪って、もがき苦しむ日々が続いていたころだった。
ふと、目の前に姿をあらわした少年がいた。
「もし、君が望むなら君と僕で美しい街へ行こう」
優しく温もりのある声が心に響く。少年はヘラヘラ笑って手を差し伸べてきた。
すがる相手が間違ったのかもしれない。私はその手に助けを求めた。
「つかまってて」
少年は私を抱き羽を生やして地から飛び立つ。私はふいに怖くなる。“これからどこに行くの”疑問が生じた頃だった。
あははと笑って
「やっぱりダメだったみたい」
と少年は言った
「君にはまだやり残したものがあるんだ。大丈夫、君には未来がある。もう一度やり直してごらん」
精一杯の説得をされたところで目が覚めた。
20年経った今もあの時の事は鮮明におぼえている。でも、あの時あそこにあの少年が居たからこそ今の未来があったこと、それは忘れてはならない大切な事だ。
私は空にありがとうと微笑み、夫と2歳になる子供の小さい服を干した