恋し 恋風、ふわりと香る あなた 何処から来ましたか と、尋ねるわたしはあの町生まれ スカートの裾を持ち上げたりして 足首撫でるゆるい風を切る ささめく桜の花弁が、耳元掠めて去っていく 脚先 日向に浸して待つ人 生まれてはじめて恋をした人 寝転ぶ草木に育てられたあなた 足もとが軽く おぼつかないのだ 甘やかな声に振り返る まるで 年をとるのを否定するように、赤い靴のかかとがキュッと鳴る 恋し 恋風、ふわりと香る あの街 どこかで お元気ですか