「アタシが'大おばば'なんて呼ばれているのは、此処の村人達より、本の少し外の知識を持っているという事と、正体を隠し続けているからこそ出来ることなんだ。」
正体を…隠している、とは。
二人は藤の言葉を待つ。
「蒼の方は人間として。朔、アンタはただの人間じゃあないね?」
「…人間と、鬼の間に生まれました。鬼として育てられてきましたが。」
「…境遇が同じだな。」
初めて驚いたような顔をする。ということは――
「しかし。アタシは忌み子として育った。
アタシはこの村の出なんかじゃァない。…そこでは、鬼と人間の仲は最悪でねェ…まあそんな中でも、愛ってモンはとめらンないらしいのさ。その間に産まれたモンだから、こっちはたまったもんじゃない。どこいったって扱いは酷かった。――だから、殺したのさ。村一個潰れたねェ。」
展開がはやい。
事もなさげに言う藤に、聞きたいことは山のようにあるが。
「そこで初めて判った。アタシは鬼なんだってね。」
追伸≫
最近追伸を書かないという。お久しぶりです。
書かなかった理由は、特にこれといった解説しなければならないことが無かったからなんですね。
ちょっと補足すると、藤姐は今のモデルさんのような外見だということです。モデルさん、なんて表現はこの物語に合わないので、此処で説明致しました。…以前にも説明したような気がしてきました。もし二回目なら、「あ、疲れてるんだな」
と生暖かい目で見守って下さい。