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無題

手を伸ばしても君はいないって
目を開けるまでもなく僕は知っていた

随分と前に買い替えたシングルベッド
余ってしまった枕は
迷った末に僕の方を捨てたけど
ひと月もたたないうちに
君の香りは消えてしまった

手を伸ばした先はシーツすらないって
目を開けるまでもなく僕は知っていた

瞼裏に陽の光を感じながら
僕はゆっくり息を吸い込んで
君の香りを思い出す
くっきりとした甘さが胸に満ちた頃
ヤカンのヒステリックな悲鳴に紛れて

遅刻するよって君の呆れ声が
僕から夢を奪い去る

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