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竹取物語

 昔、美少女がいた。名はかぐや姫。月日が経ち、少女時代を終えたかぐや姫は美女になった。もちろんあちこちから縁談が持ち込まれた。生活の変化を嫌うタイプであるかぐや姫は、養父母である翁、嫗と離れたくなかったのですべて断ろうとしたのだが、翁が、とりあえず毎日通ってくるセレブの五人に会うだけ会ってみろ。みたいな目つきでかぐや姫を見ているような気がしたのと、嫗も、そうしてみたらかぐやちゃん。なんて感じで微笑んでいるように思えると思えば思えたので会うことにした。
 五人は、さすがセレブだけあってオーラがあった。孤児で貧乏育ちのかぐや姫はそんな五人が妬ましかった。そこで五人に条件を出した。ガンダーラ仏の仏頭くれたら結婚してあげる。ダイオウイカ釣ってきてくれたら結婚してあげる。アノマロカリスの化石が欲しいなどなど。
 さて、五人。それぞれかぐや姫の望むものを探しに出発するかと思いきや、そこはセレブ。庶民と違い、横のつながりが強い。抜け駆けはフェアじゃない。それにみんなの造船技術、航海術を結集したほうが確実だってんで緻密な計画を立て、親御さんは反対したけど海に出た。
 その後、五人が、かぐや姫の前に現れることはなかった。遭難したわけではない。世界各国の美女たち、ブルーの瞳の知的なクール美女。褐色の肌のナイスバディ美女などを目の当たりにすると、かぐや姫などかすんでしまうではないか。なんであんな田舎くさいおかめのために俺たち頑張ってんの? いい女ぶって調子に乗りゃあがってちんちくりんが。あーもうやめやめっつって帰国してからセレブたち、海外に会社つくろうってなったんだ。金持ちはこうして自己増強していくんだね。
 で、かぐや姫はどうなったかっつうと、地元の歯医者と結婚して男の子二人もうけてまあそこそこ贅沢な暮らしをしたんだそうだ。

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