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ファヴァー魔法図書館 #16

「君は......やはり神の子だったんだね。
いや、君という言い方は失礼か。
私めは貴方の降臨を待って居りました。」

跡形も無く貫かれた怪物の横に立っていたのは、先刻までユリが見ていた少女では無く、光と一枚の布を纏い凛々しく立つ少女であった。
「私を待っていた?
いや、待たれては困る。私は予備、本来私が目覚めると言うことは良からぬ事だ。」
「その良からぬ事が現に起きているのです。
この空間の大本はファヴァー魔法図書館ですが、今はそれを発動させるモノが降臨していません、貴方を除いて。」
少女は少し考え、こう言った。
「それならば私は目覚めるのが早かったのかも知れぬ。私は再び眠りにつくことにしよう。
二度と、私が目覚める事の無いように祈って。」

光は徐々に収束し、いつもの少女が現れた。
「.........ユリ?ユリなの?」
「ああそうだよ。帰ろう。」
「......どういうこと?ユリ?」
「帰るよ。話すことがある。」
そう言ってユリは『not walk move』のグリモワールを構え、文字をなぞった。

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