「姐さん、着替え早い。」
蒼がちょっとした教育を受け、元来た道を歩く3人。
「姐さん、客人迎えて着替えに引っ込むのはどうかと思うぞ。」
ぶつぶつと言う蒼の台詞に、朔は微笑みながら解説を加える。
「もっと用心する気持ちを大切にしろって言っているんだよね、蒼。」
「それなら大丈夫だ。そもそもあまり客人を家に入れないんでねェ。」
「な…それなら尚更…!」
朔に、二つの疑問が浮かんだ。
「じゃあ、何故僕達を招き入れた?」
蒼も、真面目な顔に戻った。
藤はそんな二人を見て、表情を変えずに一言。
「"力"の見定め、とでも言っておこうか。」
「そう…。」
案外あっさりと引き下がる朔に、蒼が拍子抜けする。
「本当にそれで納得したのか、朔。」
「うん。あと、もう一つ。これは蒼に聞きたいのだけれど。」
少し身構えた。朔は時々、嫌に鋭い。それも、答えにくい内容に限って深いところをついてくる。
「…何だ?」