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じきに赤黒くなる

星芒を思わせる睫毛に縁取られた、夜空に似た瞳が好きだった。花と雲を紡いで作ったかのような、軽やかな髪が好きだった。天の川を切り取って、満月で染め上げても、こんなにも綺麗にはならないだろうというほどに、うつくしい手が好きだった。今なら正直に白状できる。だって彼はもういない。

ところで、まるで他人事のように泣いている私は、切っ先の汚れたナイフを抱いているのだった。ああ、ああ。

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  • あぁ。。
    胸が、心が痺れました。
    確かに震えたのを感じました。
    真珠の爪先さんの紡ぐ言葉、詩に恋をしたみたいです。
    愛と恨みは表裏一体。
    正常と異常の違いなんて些細なもの。
    なんとも残酷で美しい世界に生まれてきてしまいました。。


  • Nanaちゃんさん、以前の投稿にまで、レスをありがとうございます。「詩に恋をしたみたい」というお言葉に、今度は私の心が痺れました。今一度、ありがとうございます。
    取り扱いに注意が必要なものといえば恋心と女心、と相場は決まっているのです。薔薇に棘があるのと似た原理かな。