「痛っ…何すんだ糞女ぁ‼」 一瞬手が離れた。どうやら、藤が押さえられていた手を噛んだようだ。 藤は叫ぶ。 「連れてくんじゃァ無いよ!アタシは大丈夫だ‼」 包丁を深い部分まであてがう。触れた部分からは血が垂れている。 「藤!」 思わず名を呼ぶ蒼。 藤はぼそっと一言。 「…いねェ…。」 「あん?」 「…痛いねェって言ってンだよ!」 一瞬離れたその隙を、藤は見逃さない。 胸元から素早く取り出したのは――クナイだ。