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鬼ノ業~本章(参拾)

「痛っ…何すんだ糞女ぁ‼」
一瞬手が離れた。どうやら、藤が押さえられていた手を噛んだようだ。
藤は叫ぶ。
「連れてくんじゃァ無いよ!アタシは大丈夫だ‼」
包丁を深い部分まであてがう。触れた部分からは血が垂れている。
「藤!」
思わず名を呼ぶ蒼。
藤はぼそっと一言。
「…いねェ…。」
「あん?」
「…痛いねェって言ってンだよ!」
一瞬離れたその隙を、藤は見逃さない。
胸元から素早く取り出したのは――クナイだ。

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