君が世界を見たいって言うから
おんぶで案内してって言うから
心地よい重みを背負って歩いた
遠い昔に見切ったはずのこの世
空の青色はサファイアに
雑踏の灰色は星の欠片に
君が見えるものすべてを
美しいものに例えるから
神経の枝が伸びていくように
細胞の花が綻んでいくように
まばゆい光と鮮やかな色彩が
僕の世界までをも染め上げて
なんて、なんて
この世界もそう捨てたもんじゃないねって
勝手に諦めてしまうには綺麗すぎたよって
僕が泣くのと君が消えるのとは同時だった
うつくしい世界にひとり佇む
いとおしい世界でひとり佇む
そこに在ったはずの温もりと
からっぽの背中に春風を浴び
そういえば君は誰だったのだろう
ねえ、きみは、だれだったのかな