「一つ、聞いても宜しいでしょうか。」
「…何だ。」
朔の尋ねに、明らさまに不機嫌な声で返答する鬼。捕らえられた二人の鬼は手首を縄で縛られ歩き、気絶しているもう一人は朔がおぶっている。
「僕の背中のこの人…鬼じゃない。」
蒼が、驚いたように朔を見た。
「それが何だ。」
吐き捨てるように言われ、思わず溜め息が出た。
「この村では、鬼と人間はあまり良好な関係とは思われませんでした。其れが何故、手を組んでらっしゃるのでしょうか。」
応えてくれた。
「…そこの人間が、鬼と人間は解り合える等とほざいていた。だから、そうならば証明せよと――逆らわないということで誠意を見せろと、そう言った。」
鬼は嗤っていた。
「愚かな人間よ…。」
「ふざけるな…。手前…本当にそう思っているのか!?」
蒼が胸ぐらを掴み上げた。その手は震えている。
追伸≫
お久しぶりの方も、はじめましての方もこんにちは。久しぶりに此方に来てみました。
二人の鬼、という描写について少し。
二匹、ではありません。二人、なのです。