朔が、蒼の手首に手を添えた。 「蒼、」 「だが…!」 首を振る。思い切り顔をしかめ、押しやるようにその手を離した。 鬼は嘲笑う。 「お前は人間だということはわかった。しかし、そこのお前は鬼でもなければ人間でもない。 寧ろ、何故一緒にいるのだ?そこの女も。」 すると朔は、 「僕は人間だ。鬼でもあるだけで。」 そう言い放ち、「何故一緒にいるのか解らない頭なのであれば、いっそ捨ててしまえばよろしいのでは?」 恐ろしく冷えきった眼に、鬼は口を噤むしかなかった。