絵描きは言う 忘れられてしまうのが怖いと 自分を知っている人間が ひとりまたひとりと消えていくのが怖いと 絵描きは言う 人間なんてやめてしまいたいと 浮世をやつして絵画になって あなたの部屋で永遠に飾られていたいと でもね ぼくはね きみがもし浮世絵だったとして さっさと暖炉に焼べていたと思う 束の間の暖をとっていたと思う ぼくは言う 色褪せぬ命など美しくないと ぼくに燃やされたくなかったら 生きて 生き延びて 絵を描き続けろと