朝。
まだ肌寒い、梅雨入り前の5月。
一人暮らしを始めて約1ヶ月。
「おはようございます」
いきなり、声をかけられてビクッとしてしまった。
見慣れない人だ。
顔に出てしまっていたのか、その人はこう答えた。
「先日、引っ越して来た 桜尾 巳汐 です。一応、白帆さんのお隣ですよ」
その人は優しく笑った。
まるでふわりと花開くように。''桜''と名前に入っているからだろうか。
(ん?何で私の名前...?)
私が疑問を口にする前に
「では」
と、部屋に入っていってしまった。
(あれ?もしかして挨拶するためだけに出てきてたのかな....?)