「…疲れるなぁもう…何で、放課後使わなきゃいけないの?」
中学に入学したばかりの頃、私には好きな男子がいた。
「まぁ、あの人も来るよね」
部活を早退して自分の教室に帰ると、やはりあの人はいた。
「帰ろっか」
1時間ほどクラス会議をして、ふとあの人は私に向かって言うのだった。
「…うん!」
その日は晴天だった。夕日が沈みかけた空、風の強い帰り道。
私は一言話しかけてみた。
「明日…もさ、頑張らなきゃね」
その言葉をかき消すように、強風が私たちを襲った。
「…あぁ、でも、俺がこんなに重要な役目、していいのかな」
重要な役目を担うあの人は、不安がるのだった。
「…あなたなら、きっとできる。自分を信じて」
私が言えたのはこれだけだった。
初めて2人きりで帰れたのに、その後恋は発展しなかった。
それは、私の宿命だったのかもしれない…
今になって思っても、後悔が襲うだけだから…
忘れてしまおうか、こんな苦い思い出