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-季節 Ⅶ-

―ある暖かい春の日のことだった。
僕はその頃、自慢じゃないけど彼女がいたんだ。
彼女はこの町に住んでいた。すごく綺麗な人だったんだ―

「桜、綺麗だね」
「あぁ」
その日、僕は彼女のいる町に花見にきていたんだ。
それから、彼女が買い物がしたいって言うからショッピングセンターに向かっていたんだ。
それは、突然の出来事だった.....。
信号待ちをしていたら小さい男の子が、ボールを追いかけて道路に飛び出してしまったんだ。
彼女はその子を助けて、自分は車にはねられた。

すぐに病院に搬送されて彼女は治療を受けた。
けど、手遅れだった。

彼女は事故現場で僕が近づいていったら
こう言ったんだ。

''体が勝手に動いちゃって....。ごめんね...。''

本当に正義感の強い人だ、と思ったよ。

なんであの時、僕は彼女を止めなかったんだろう....。なんであの男の子を止めなかったんだろう って今でもよく思うよ...。

僕は本当に駄目な奴なんだ....。

「ごめんね。すごく暗い話だったよね。って、なんで話したんだろう...。この話今まで誰にもしたことなかったのに」
また彼は''切なく''笑った。

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