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-季節 Ⅷ-

桜尾さんの話を聞いて改めて思った。
(人の死って、突然なんだ....)
実際、唯も両親の死でそれを実感した。
自分もいつ死ぬか分からない....。
「白帆さんって、不思議だね。すぐに心を許してしまった。今まであまり人を信じれなかったのに」
(えっ.....)
そんなこと始めて言われた。
そんな力が私にあるんだろうか...。

それから家に着くまで私も彼も
一言も話さなかった......

「あのさ....いきなりよくも知らない男にこんなこと言われるの嫌かもしれないんだけどさ......」

「....?」

「たまに、たまにでいいからうちの店に手伝いに来てくれないかな?」

全く嫌じゃない。
むしろ嬉しい。
初めて人に頼られた。

「もちろん!私で良ければ、いつでもお手伝いしに行きますよ」

彼は笑った。
初めて会ったあの時のように。
まるで花開くように。

―まだ肌寒い5月の初めの物語―

  • 第1章 終了です!
  • ありがとうございましたー!
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