指先と指先がしだれ絡ませ求めあうから、僕らはゆっくりと成り行きを見守る。つかず離れずの、情熱だけが往き来して、密室世界はぎゅうとなる。
底冷えだけが生きてる。愛着の波止場に立ち、くらむ。猫の舌を想起して、龍の背には乗るまいとする。息切れと、溜め息と、場末のような匂い。
誰も彼もが他人のようだ。誰も彼もが恋人のように、通り過ぎては連れ立って、旅立っていく。そこに僕らの愛情の、一片を結い、この恋がどこまでいくかを見よう。そして死のう。
腹の底がもつれ合いとけ合うなら、頭なんて付いている意味もない。出張った骨どもの絶叫が全てだ。夢みたいだ、と言った半開きの口元は、誰のとも知れず、つかず離れず、黒く大きな水の中。