「純愛とはどんなものだろう?」とサインが言った。
「野生動物がやってるのが本物の純愛だって言ってた人間がいるよ」とコサイン。
「純愛は本能か……では恋愛は?」
「恋愛は知性だ」
「すると知性のない人間の恋愛は純愛に近いということになるな」
「ばかの恋愛は本能寄りなわけだ」
「ばか、ふつう、りこうの三つに分けて考えがちだが、実際は知性には幅があって、ばか寄りのふつう、ふつう寄りのばか、ふつう寄りのりこうといった具合に層がある」
タンジェントが口をはさんだ。
「つまり恋愛には多様性があるんだな。人間に多様性があるぶん」とサインが言った。
「なぜ人類は絶滅したのだろう」とタンジェントが言った。
「多様性を認めなかったからだろう」
サインとコサインが同時に言った。
多様性のもとは能力差にすぎない。(サイン)