来年もまたここに来ようねって 笑って言えたらどんなによかったかな 浮かされた体温をしずめるように ぼくはきみの手をそっと握った 薄い胸板を乱暴に叩いては 熱を孕ませる不治の咳 ねえ、綺麗な桜だね もうすぐ見頃も終わってしまうね きみの瞳のなかで荒ぶ花びらは どうしてこんなに美しいんだろう 散りきったことにも気づかないほど ぼくは見惚れてしまったんだよ